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「嵐」活動休止会見の「無責任」質問をビジネス視点で考える

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「嵐」の活動休止会見において、ある記者が「無責任という声があるが?」と質問したことに対して、櫻井さんが苛立ちを滲ませながら「2年をかけて誠意を示していく」と答えた件で、この記者に批判が集まっています。

 

ただ、この「無責任」は誰に対しての無責任なのかをビジネス的に考えると違う角度から理解ができます。

 

まず、この記者がこの質問をこの場でしたことについては私は否定的です。詳しくはあとで述べますが、これを前提に読んでいただければと思います。

 

 

ビジネスとしての「嵐」の巨大さ

会見の質問における「無責任」というのは、ファンや一般大衆に対してではなく、「嵐」というビジネスで生計を立てている多くの人たちに対してのものだと思いました。

 

「嵐」という存在が生み出す市場は年間300億以上といわれています。メンバーや事務所だけで動かせるビジネスではありません。楽曲を作り、素晴らしいステージを運営し、DVDを作り、地上波で番組を作り、雑誌に掲載し…etc  これにどれだけ多くの人が関わり、それぞれの生計に大きく影響しているか想像がつきません。

 

トップアーティストが引退する難しさ

海外ではローリングストーンズというバンドは70歳を過ぎてもツアーを回っています。以前インタビューでミックジャガーが、「ローリングストーンズというビジネスで食べている奴らがたくさんいすぎて、辞められない」という主旨の発言をしていました。

また、とある漫画家も「実は結構前からもう引退したいんだけど、ついてきてくれたスタッフも高齢で次の働き口はないだろうから、俺が続けるしかないんだよ」とおっしゃっていました。

一般社会でも、会社の社長が急に「今日で会社を畳んで引退する!」といったら従業員は路頭に迷ってしまいますよね。

 

安室奈美恵さんが引退まで1年の時間を取ったことに対し、引退商法など揶揄するコメントもTwitterで見かけましたが、全く視点がずれています。スタッフやダンサー、裏方の方達など、いままで安室奈美恵というビジネスに軸を置いてくれていた人たちが、次の場所を見つけていくのに必要な時間をとったのであり、非常に誠実な対応だったと思います(もちろんファンに向けての時間であったのも間違い無いですが)。

 

「嵐」は安室さんよりもさらにビジネス規模が大きいだけに、より多くの時間が必要であることは納得性が高いです。大野さんをはじめ、メンバーの皆さまもこのビジネス全体の中心にいる責任感から、今回の決断は非常に難しいものだったのでしょう。

 

ビジネス視点で考えるとあの質問はよくわかる

以上から、記者の質問は言い換えれば、「これだけ大きなビジネスとなった嵐を個人の心情により休止させることは、多くの人が食い扶持を失うことになり、無責任ではないか?」という意味だったと推測できます。

それに対して櫻井さんの回答は「今日明日に急にやめる訳ではなく、皆が次の行き先を確保できるまで、2年という時間(猶予)を設定したことは、誠意だと思って欲しい」という意味が込められていたと思います。

 

以上のように考えると、なぜあんな質問をしたのか、櫻井さんがなぜ苛立ったのか、理解できるのではないでしょうか?

 

あの記者はTPOスキルは最悪だった

ただし、もっともあの場は外に向けた会見であり(会社でいえば顧客)、ビジネスの内側にいる人たち(会社でいえば従業員、株主、取引先)に向けたものではありません。よって前述のような意味の質問をするのは場違い極まりないです。櫻井さんに苛立ちが見えたのもそのあたりではないでしょうか?(ですが櫻井さんの回答は、ファンに向けてとも、内側の人たちに向けてとも取れる非常にクレバーなものでした。素晴らしかったです)

 

メンバーの決断を応援したい

この決断に到るまでどれだけの葛藤と議論があったのか私には想像がつきません。ビジネスの継続(関わる人たちの生計)を考えれば4人で続ける道を取るのが無難かと思います。ですが休止を選んだあたり、あの5人の絆の深さやこれまでの重圧、そして覚悟といった人間性を垣間見ることができました。また、それを受け入れた周囲の方達の、彼らへの信頼や感謝も感じました。

これからの2年間を私もしっかり見させていただき、たくさん学ばせていただきたいと思います。